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日常、映画、執筆状況からネガティブまでなんでも御座れ。
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どうも、皆さん(^-^)/

長らくお待たせしました。コラボ企画の第2弾が完成です!

今回俊衛門さんに続いて勝手にコラボさせて頂くのはみんなのアイドル、あいぽさんです。久しぶりに恋愛小説を書きました。そして、知り合いなだけにめっちゃ恥ずかしかったです(^-^;

まあ、前置きはこれぐらいにして。楽しんで頂ければ幸いです(^^)
特に『べた恋』に参加していた人には。

 Please Enjoy

 雲一つないよく晴れた午後。屋上で一人、ベンチに座ってのんびりと紙パックのオレンジジュースを飲みながらご飯を食べていた。太陽の温かい陽気に包み込まれながら。耳には生徒の笑い声。それに鳥の鳴き声も。昨日までは工事の機械音があって最悪だったが、今は終わって静かなものだ。
 僕は唐揚げを食べながらそんな事を思いながら目の前に広がる景色を眺めていた。すると、突然目の前が真っ暗になった。ほんのりと温かい物で。
「うわっ!」
 慌てて弁当箱を持って立ち上がると、視界が晴れていつもの景色があった。すると、後ろから聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。振り返るとお腹を抱えて笑うセーラー服姿の女子がいた。小学校からの幼馴染み、あいぽだ。
「相変わらず反応が面白いね」
 そう言いながら涙を拭った。そんなにおかしかったのだろうか?
「人の反応見て笑うなよな」
 僕はそう言うと、座って改めてご飯を食べた。構ってたらいつまでも食べれなくなるからね。
「まあまあ。幼馴染みなんだからいいじゃん」
 そういう問題かよと思いながら、黙々と口の中にご飯をかき込んだ。
「そういえばさ。今週の土曜日にお祭りがあるよね?」
「うん。確か中央公園で」
 弁当箱を片付けながら淡々と言った。
「ねっ、久しぶりに行こうよ! 小学生の時みたいにさ!」
 あいぽは、顔を近づけて来ると瞳を輝かせながら言った。そんな彼女の仕草に思わずドキッとしてしまった。顔が熱くなり、赤くなるのが自分でも分かった。思わず卑怯だと言いたくなった。
「う、うん。別に……いいけど」
 そう言いながら顔を反らした。
 はぁ。めっちゃドキドキしてる。
「やった!」
 小さくガッツポーズを作るあいぽの横顔を見ながらやっぱり僕は恋をしていると実感する。

 そう。僕、李仁古は幼馴染みのあいぽに恋をしている。

 幼稚園からの仲で、お互いの両親もとても仲がいい。父親同士でゴルフに行ったり、母親同士で喫茶店に行ったり。本当に仲がいい。僕らも小学の低学年まで一緒に公園で遊んでいた。でも高学年になると遊ぶ事はなくなった。まあ、恥ずかしいからというのが正直なところだ。
 でもある日、僕は気づいた。確かあれは高学年になる少し前だったと思う。あいぽがインフルエンザで休んだ時だ。登校する時にいつも明るい笑顔を振り撒くあいぽが横にいたのに休んでいるからいない。当然のように一緒にいたからだろうか? 孤独感でいっぱいだった。その時に自分の気持ちが分かった。

 もっと彼女の横にいたい、と。

「ねぇ、さっきからなに一人でぶつぶつ言ってるのさぁ」
 突然あいぽが目の前に現れた。
「うわっ!」
 僕はあまりにも突然だったので、勢いよく後ろに倒れた。自分で言うのも変だが、ドリフのコントなみだ。
「ちょっ! 大丈夫?」
 派手に倒れた僕は腰をさすりながら起き上がった。
「だ、大丈夫」
 学ランのズボンについた汚れを手で払いながらそう言うと、昼休みを終えるチャイムが学校中に響き渡った。
「じゃ、あとでメールするね」
 あいぽはそう言って、スキップするように屋上を去った。僕も弁当箱を持って屋上をあとにした。

     *   *   *

 僕らはその後、メールを取り合って祭に行く日時を決めた。メールの中で僕は素っ気ない返事をしていたが、内心は凄く嬉しいし、凄く緊張している。直接話している訳でもないのに、手が汗ばんでいる。それを何度もズボンで拭いながらメールをしていた。幼馴染みに緊張しているなんて、我ながら情けなくなってくる。
 そして、最後に待ち合わせ場所を決めてメールは終わった。僕はその夜眠れなかった。次の日が祭でもないのに。何度も音楽を聴いたり、本を読んだりしたが眠れなかった。次の日の朝に鏡を見たら、目の下に真っ黒なくまが出来ていた。何度友達や先生に笑われた事か。

     *   *   *

「ついに今日か」
 カレンダーの前で僕はそう呟いた。振り返ったり、一旦部屋から出たり、目を閉じたり、着替えたり、ケータイを見たり。いろんな事をしてみたが、何度見ても今日は祭に行く日だ。
 僕は溜め息をつきながら、ベッドに横になった。今日は僕にとって運命の日だ。祭は人でごった返すだろうけど、二人っきりなのは確かだ。そこで二日前から練習した言葉がでるだろうか。
「す……好き……だ」
 そう呟いてみた。でも恥ずかしさのあまりベッドでのたうち回った。
 うわぁ、こんなの言えねぇよ。どうやったら言えるって言うんだよ。世の中の男はみんな度胸がありすぎるんだよ。こんなの言ったら心臓が爆発してしまう。いや、さすがにそれはないか。
 僕はとりあえず、自分を落ち着かせようと深呼吸した。それから頬を叩いて気合いを入れる。
「よし!」
 集中した。
「風呂に入ろう!」
 練習は後回しだ。
 風呂場で髪を洗い、体を洗い、髭も剃った。いくら幼馴染みだからって、さすがに綺麗にしていった方がいいだろう。まあ、それが普通なのだが。今日は入念に。
 風呂から上がって、ドライヤーで髪を乾かしていたら待ち合わせの時間が迫ってきていた。部屋に戻って用意していた白いポロシャツに紺色のジーンズを着た。ちょっと地味かもと思ったが、これが僕の最大限のファッションだ。基本的に服にあまりこだわりは持たない。
 忘れ物がないかチェックしてから家を出た。腕時計を見て、余裕で間に合うなと確信した。自転車を走らせて祭が開催される中央公園に向かう。道には浴衣を着ている人やわたあめを持った子供が沢山いた。
「うわぁ、やっぱり人多いなぁ」
 そう呟きながら自転車をゆっくり走らせる。中央公園に近づくにつれて多くなっていく人。交通整理に来た警察官もあちこちにいる。僕は途中から降りて自転車を押して向かった。もっと早く来たらよかったと思いながら、ようやく公園の入口についた。いっぱいになった駐輪場に無理矢理自転車を停めた。
 腕時計を見ると、待ち合わせの時間の五分前だった。人ごみを「すみません」と言いながらかきわけながら、大きな時計がある柱に向かうと、そこも人でごった返していた。どうやら他の人もここを待ち合わせ場所に選んでいたようだ。まあ、公園の中で一番目立つ物だから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
 とりあえず僕はそばのベンチに座りながらあいぽを待つ事にした。その間に熱気をむんむんと出している出店を眺めた。
「……何年ぶりかなぁ。ここの祭に来るの」
 そんな事を呟きながら、子供の頃を思い出していた。あいぽと一緒に親と逸れて僕だけ半ベソになりながら歩き回ったっけ。昔っから泣き虫だったよなぁ。あの時ずっとあいぽが手を握っててくれっけ。
 思い出していたら顔がにやけているのに気づいて、すぐに顔をかえた。
「お待たせっ!」
 その声に反応して向くと、そこにはピンク色の浴衣を着たあいぽが立っていた。花柄が凄く合ってるように思えた。
「そ、そんなに見ないでよ。恥ずかしい」
 あいぽはそう言って顔を赤くしながら俯いた。
「あっ、いや、ごめん。その……似合ってると思うよ」
 僕は後ろの髪を何度も撫でながら、言った。
「ホントっ!? よかった」
 そう言ってあいぽは真っ白な歯を見せながら笑った。制服姿しか見ていなかったせいか、浴衣姿の笑顔がとびっきり可愛く見えて僕は心臓はもの凄いスピードで動いている。
 くそっ! 反則過ぎる! めっちゃ可愛いじゃねぇか!
「じゃ、行こっか」
 あいぽが僕の手を引いて歩き始めた。僕はドキドキしながら彼女を歩いた。
「ホントに、ここ来るの久しぶりだよね」
「あっ、うん」
「ふふっ。いつもここのクジ外れてたよね」
「こ、ここのクジは絶対当たらないよ」
「えっー? そんな事ないよ。李くん昔から運がないからだよ」
「そこまで言わなくても」
 そんな思い出話をしながらあいぽと出店を回り、わたあめやりんご飴、焼きそば、フランクフルト、瓶のラムネ、かき氷を買って一旦ご飯を食べる事にした。僕らは公園のすみにあるベンチに座った。
「いやぁ、やっぱり人多いね」
「そ、そうだね」
 僕はさっきからこんな感じだ。まず横にあいぽがいるという事と、告白の事があって正直それどころじゃない。その内心臓発作になるんじゃないかってぐらい心臓がドクドク言ってる。
 とりあえず僕は少しでも気持ちを落ち着かせようとフランクフルトにかじりついた。
「ぷっ! ちょっと口の周りケチャップだからけだよ」
 僕は一心不乱に食べて、口を拭った。
 ……ダメだ。全然落ち着かない。
「うーん! 頭がキーンってする!」
 あいぽはマイペースにいちごシロップがかかったかき氷を食べていた。ときおり頭を軽く叩きながら。
 落ち着かない僕はさらに焼きそばも平らげて、かき氷を掻き込んだ。
 落ち着け自分。落ち着け自分。落ち着けじ……。
「くっ! 頭がっ!」
 すると、あいぽが吹いた。
「そんなに一気に食べるからだよ」
 お腹を押さえながら笑うあいぽに、僕も釣られて笑った。
「おっ! あいぽじゃん」
 声がした方を見ると、あいぽのクラスメイトだった。何度か話しているとこを見て、知ってる。噂では彼もあいぽを狙ってるとか、狙ってないとか。
「あっ、来てたんだ」
「まあね。友達に連れられてね。……彼氏?」
 思わずドキッとした。
「ち、違うよ! 幼馴染みなんだ」
 そう言って、嬉しそうに話すあいぽを見ながら僕はなんだか居心地が悪くなってきた。
「へー。てっきり付き合ってるのかと思ったよ」
「やだなぁー、もう!」
 やっぱりあいぽは、僕の事を見ていないのだろうか。
「じゃあ、俺があいぽを狙ってもいいんだ」
「えー?」
 ダメだ。限界だ。
 僕はゆっくりと立ち上がった。
「あれ? どこに行くの?」
「と、トイレ」
 それだけ言って、その場を離れた。
 あの時言えばよかったのだろうか? でも僕にそんな勇気はない。結局僕は影から見る事しか出来ない。大馬鹿野郎だ。でも……。
 公園の出入口で立ち止まった。

 ここで逃げたら僕はもっと馬鹿な気がする。

 僕は深く深呼吸してたから、踵を返して戻った。走って戻った。戻るとまだあの男とあいぽが話してた。
「男になれ」
 そう自分に言い聞かせ、意を決してあいぽに近づいた。
「あっ、おかえ……っ!」
 無理矢理あいぽの腕を取って、男には見向きもせずに歩いた。
「ちょっ、ちょっと。痛いよ」
 僕は男からだいぶ離れた事を確認してから止まった。
「痛いよ。もー!」
 怒ってる。でも構わず僕はあいぽをぎゅっと抱きしめた。力強く、二度と離さないと思いながら。
「好きだ」
「え?」
「あいぽの事が……好きだ!」
 アドレナリンが出ているせいか、不思議と恥ずかしいと感じなかった。
「ずっと、あいぽの事だけを見てきた。ずっと……好きだった」
 そこであいぽの顔を見てみると、顔を真っ赤にしながら唖然としていた。
「その……答えを聞かせてくれないかな」
 もうこうなったら当たって砕けろって感じだった。
「あいぽも……す……好き……だよ」
 今度は僕が唖然とした。
 あいぽは僕を優しく抱きしめ、ゆっくりとこう言った。
「……もっと早く言ってほしかったなぁ」
 僕は苦笑いしながら「ごめん」と言った。すると、あいぽは体を震わせながら絞り出すように言った。
「今日は……来てよかったね」
「うん。そうだね」
 僕らはしばらくの間、抱きしめあった。祭りの賑わう音を聞きながら。
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ゴーチソウサマでございますぅ!!!(*ノノ)キャ
 ひっさしぶりに李さんの恋愛モノよんだー!
 恋愛、しかも、セーシュン!
 うわー、うわー、ゴロンゴロンしましたです!(///∇//)ポッ
 まさに「べた恋」ですね!! いゃん、懐かしいです!!><

 いやしかし、ある意味「ナマモノ」じゃないですか!
 自分を使うのって恥ずかしくないですか?
 そんなこんなで、自分なんぞはいっつも、変態奇行士設定にしてしまうのですが、王道を行かれる李さんを尊敬です!(お目々キラキラ

 巧い具合に、それぞれのキャラらしさを出しているので(チャットなどで言葉を交わす中でのイメージですが)、どこまでが脚色でどこまでが事実の欠片? とニヤニヤ妄想しながらも読むのもまた一興、なんて感じの作品でした。

 うわー、最近自分がすれ違いだの人死にだの仁侠ビトの純愛だとかもうゆがみまくった恋愛ばっかり書いているので、キュンキュンさせて戴きました、エイヨー!!!(≧∇≦)ノ

 ありがとうございました!
 よいエネルギーとモチベーションのチャージをさせて戴きました!
 ま、負けるもんか!(なぜ挑む;
 私も頑張って書くぞ!( ̄‥ ̄)=3 フン
藤夜 要 2011/04/19(Tue)20:07:07 編集
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1989/05/28
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